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T I/E AR ~ティアー~ Diary

T I/E AR ~ティアー~ Diary

P352~ 脳・神経系

脳・神経
○ 基本病変
・神経細胞
1 急性腫脹:細胞腫大とNissl小体の融解(虎斑融解)。
2 中心性色質融解:軸索の障害時に中枢側に起こる変化。(逆行性変化)
3 乏血性変化:急性の酸素欠乏で生じる。細胞萎縮、核濃縮、好酸性化など。
4 ワーラー変性:末梢神経切断時の、軸索・髄鞘の変性崩壊。
5 海綿状態:神経網の多数の小空胞。
6 軸索異栄養症(類球体)
・グリア細胞
グリオーシス:中枢神経障害時、アストログリアが腫大増殖。
       初期に肥満膠細胞で出現、慢性で線維性グリオーシス。

・グリア結節
グリア細胞を分類すると小膠細胞、稀突起膠細胞、星状膠細胞がある。
末梢神経線維の切断に対して二次的に出現する軸索・髄鞘の変性をwaller変性という。
脱髄:髄鞘の膨化、断裂、球状化~消失。線維周囲の空胞化。

* 先天異常
・水頭症は脳室系に貯留する内水頭症とクモ膜下腔に貯留する外水頭症に大別される。
水頭無脳症:アカバネ、アイノ、チュウザン、BVD-MD、ブルータングなどの胎内感染による。

解説 40 アカバネ病
ブニヤウイルス科アカバネウイルス感染の母牛(吸血昆虫の媒介)からの垂直伝播による異常産。日本での流行は季節に関連し、晩夏~翌春頃まで続く。幼齢の胎仔感染で流・早産、脊髄発育期の感染で関節拘縮・湾曲症、大脳形成期の感染で大脳欠損・水頭症を示す。

*BVD-MD(ウイルス性下痢・粘膜病)
 胎齢100~170日の胎盤感染で、小脳形成不全。

・化膿性脳炎(細菌性脳炎):好中球浸潤、化膿性融解、膿瘍形成。
リステリア症、伝染性血栓塞栓髄膜脳炎、結核。
*リステリア症
Listeria monocytogenesisが原因。人獣共通感染症。
感染経路:口腔粘膜の損傷部位→三叉神経→脳橋・延髄→大脳
病理:脳幹部に化膿、小膿瘍、囲管性細胞浸潤。

伝染性血栓塞栓性髄膜脳炎
 Haemophilus somnus感染症。肺炎、関節炎、流産の原因となる。
症状:発熱、神経症状
病理:出血性壊死性病巣の多発、静脈炎、細菌栓子、血栓、化膿性滲出。

・非化膿性脳炎(ウイルス性脳炎):封入体形成、充出血、水腫。炎症細胞が出現しない。
オーエスキー病、牛伝染性鼻気管炎、ボルナ病、日本脳炎、鶏脳脊髄炎、ND、狂犬病、犬ジステンパー、豚コレラ。
  ≪ウイルスの侵入経路≫
1.血行性
2.軸索移行:狂犬病、ヘルペス
3.嗅神経:ポリオ、ヘルペス
  ≪基本形態≫
神経細胞の変性壊死(原因体によるウイルス性封入体)
神経食現象
囲管性細胞浸潤 
グリア結節、星状膠細胞増殖
封入体形成
出血・充血、水腫

・オーエスキー病(仮性狂犬病)
豚ヘルペスウイルスI感染により、多くの動物に発生。特に幼豚(脊髄神経節→脊髄→脳)で大きな病巣を形成。神経細胞核内に好酸性~両染性のウイルス性封入体形成→のっぺりとした封入体

・血球凝集性脳脊髄炎ウイルス感染:コロナウイルス感染により、幼豚に非化膿性脳脊髄炎

・牛伝染性鼻気管炎:牛ヘルペスウイルスI感染。子牛で散発。

・ボルナ病(海外伝染病)
 脳幹部(特に中脳)の神経細胞核内(まれに細胞質内)に封入体形成
        ⇒Joest-Degen小体(orボルナ小体)

・日本脳炎
 日本脳炎ウイルスを夏季にコガタアカイエカが媒介(夏季脳炎)。ほとんどが不顕性だが、妊娠豚にかかると流死産(黒子)。全脳性の病変。

・ニューカッスル病(ND)
 鶏パラミクソウイルスI感染により、中枢神経・内臓・気道に病変。神経細胞変性、グリア細胞増殖、血管周囲性細胞浸潤、血管内皮細胞の肥大。

・鶏脳脊髄炎
 ピコルナウイルス属の鶏脳脊髄炎ウイルスによる病変。封入体は形成しない。大型神経細胞の中心性色質融解(ニッスル小体が溶けて周辺においやられ、細胞が丸くなる)。

・狂犬病(海外伝染病)
原因はラブドウイルス科の狂犬病ウイルス。人獣共通感染症。感染犬はうつ狂または躁狂のいずれかを発症し、末期には昏睡に陥る。致死率は100%。
脳の特に海馬(アンモン角)の大錘体細胞、他には小脳のプルキンエ細胞、大脳皮質の錐体細胞にネグリ小体(好酸性)が出現。顕微鏡的に、脳炎像が見られないこともある。

・ジステンパー
原因であるモルビリウイルスの中の犬ジステンパーウイルスは多臓器親和性(→多臓器疾患)。脳脊髄で頻発し、特に脳室周囲に脱髄巣を形成する。神経細胞、上衣細胞、グリア細胞などの細胞質や核内に好酸性封入体を形成。間質性肺炎としても大事

・豚コレラ
フラビウイルス感染により、9割が非化膿性脳脊髄炎を示す。特に静脈系血管に、囲管性細胞浸潤(MФ、リンパ球、プラズマ細胞)が起こる。

*クラミジア性脳炎(散発性牛脳脊髄炎)
 幼牛の髄膜炎(一般に非化膿性)、線維素性腹膜炎。

*真菌性脳炎(クリプトコッカス症)
 Cryptococcus neoformans 感染。脳質内に無数の小嚢胞形成。菌体周囲は膠様の厚い莢膜で覆われるが、HE染色では染色されず、透明に抜けて見える。

*海綿状脳症
・スクレイピー
プリオンと呼ばれるタンパク性の感染性粒子による、ヒツジの致死性運動失調症。脳脊髄の萎縮と脊髄液の増加が顕著に見られる。組織学的には脳脊髄症を呈し、炎症性変化は見られない。神経細胞の膨化・空胞変性と、星状膠細胞のびまん性増殖、灰白質の海綿状態が特徴的。臨床的には激しい掻痒症状、運動失調、麻痺、痴呆症状などを示す。

・牛海綿状脳症
牛のプリオン病。スクレイピー罹患羊の肉骨を給餌された牛が経口感染したのに起因。発症初期には聴覚刺激に対する過敏反応や不安動作を、次第に運動失調や興奮状態、起立不能などが進行性に見られるため、狂牛病の俗称で呼ばれる。病理的な病変はスクレイピーに類似する。

* 寄生虫性脳炎
・トキソプラズマ症
Toxoplasma gondii の感染による、中間宿主的寄生。病巣内外にはシスト(タキゾイトを含む)が検出される。終宿主となるのは猫のみで、ほとんどの哺乳類・鳥類でも不顕性の場合が多い。脳炎や致死性の感染は免疫抑制の結果引き起こされ、犬ジステンパーウイルス感染幼犬ではしばしば非化膿性脳脊髄炎がみられる。

・ネオスポラ症
Neospora caninum 感染による非化膿性脳脊髄炎と非化膿性筋炎。主に牛をはじめ、羊、山羊、馬などで、胎盤感染による死流産や新生仔の脳脊髄炎を起こす。犬では胎仔感染のほかに、成犬の自然発症例もある。

*アレルギー性脳脊髄炎(ワクチン接種後脳炎):脳組織抗原に対するIV型アレルギー反応。

・パグ犬の髄膜脳炎

* 栄養性疾患
ビタミンB1欠乏症(大脳皮質壊死症):反芻動物における、大脳皮質の層状壊死。脳の腫大と脳回の平坦化、虚血性神経細胞が見られる。

* 中毒
・食塩中毒:豚・鶏に好発する、食塩と水分の摂取バランス崩壊。大脳皮質内血管周囲の好酸球浸潤。

・鉛中毒:脳水腫および大脳皮質の軟化。組織学的には、脳回頂部で海綿状変化、血管内皮細胞腫大、アストログリアの腫大、虚血性神経細胞死、慢性型では大脳皮質の層状壊死を伴う。

・脳アミロイド沈着(老人斑):老齢のサル、犬、クマの脳で見られるベータアミロイド蛋白の沈着。


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